田中教育長

令和5年度のスタートにあたって  令和5年4月1日


 藤岡市は、笑顔とやる気そして希望に満ちた子どもたちの育成を目標に、知・徳・体の調和のとれた人間形成を目指す学校教育を推進しています。そのための方策として、コミュニティ・スクールを基盤とする小中一貫教育に取り組んでいます。
 コミュニティ・スクールは、社会に開かれた学校を実現する上でとても重要な取組です。保護者や地域の代表からなる学校運営協議会で、まずは学校の教育活動を理解してもらい、そのうえで学校運営に参画してもらうというものです。併せて、コミュニティ・スクールと一体的推進を目指す地域学校協働活動においては、「できる人が、できる時に、できることを、笑顔で」を合言葉に、子どもたちの成長を支える活動を「協働」という意識で行ってもらっています。これまでも、読み聞かせボランティアをはじめ、地域での見守りボランティア、チャレンジウィークの事業所としての協力など、様々な活動がありました。
 こうした保護者や地域住民等とのつながりを強くして、地域社会総がかりで子どもたちを育てていきたいという願いがあります。したがって、教職員の皆さんはこうしたつながりを強くする意識を常に持ってほしいと思います。
 小中一貫教育は、小中学校が目指す子ども像を共有するとともに、9年間を通じたカリキュラムを作成し、それを基に行う系統的な教育です。一貫した目標と一貫した方法で、学びの連続性と生徒指導の継続に着目した授業を実践するのが本市の目指す小中一貫教育です。具体的には、「これまで ここでは このあとは」を授業に位置付け、見通しをもって学ぶようにするとともに、既習事項や経験等をもとに課題解決を促すという、主体的な学びのための手立てを講じます。その際、思考の拠り所となるよう用意する教材を本市では、つなぎ教材と呼んでいます。先生方にはこのつなぎ教材を各教科はもちろん、道徳や学級活動等においても何のために、いつ、どのように使うかなどを検討して授業に臨んでほしいと思います。ICTを活用した教育も、こうした枠組みの中で実践してほしいと考えています。
 生徒指導では、「自己決定、自己存在感、共感的人間関係」という3機能を意識して、意欲を高める指導を重視しています。具体的には、教育活動の中で、子どもたちに自分で考えて決めるということを用意する。そして、その決めたことが皆に認められ、授業や学校生活の中で生かされる。さらに、決めた理由や思いや願い等が共感される。こうした一連の流れの中で、子どもたちは意欲が高まり持続していくものと考えます。この生徒指導の考え方は、学習内容だけではなく、子どもたちを大切にするということです。教材研究では学習内容を基に授業を構想しますが、生徒指導では、子どもたちの実態を根拠にして、どの子をどの場面で活躍させるかを考えます。例えば、意図的に指名したり、発表の場面を作ったりするなどして、子どもを中心に授業を組み立てます。そしてその授業中における子どもたちの取組の様子を目に見えるように表したものがネームプレートです。授業で一人一人が大切にされる、全員が参加し、授業の中で考えや言動が位置づく、そうしたことで、子どもたちが生き生きと活躍する授業を目指してほしいと思います。
 なお、コミュニティ・スクールと小中一貫教育は極めて親和性の高い取組です。地域という空間的なつながりと9年間という時間的なつながりを大切にして子どもたちを育てたいという願いがあります。ここ数年の実践で、着実に学力の向上が見られ、子どもたちが各校区の目指す子ども像へと成長していく姿が見られるようになってきました。また、この取組は、学校において子どもたちと向き合う時間の確保や業務改善にもつながることがわかってきました。
 さらに、学校では人権教育にも力を入れてほしいと思います。特にいじめ問題については、管理職の役割と責任の明確化、いじめ防止担当教員の配置、いじめ問題解決に向けた子ども会議といじめ問題解決に向けた教育懇談会の内容の全教職員による共有化を具体的な方策とします。すべての教職員がいじめから子どもたちを守るという強い意識で、いじめの未然防止や早期対応、解決にあたってほしいと思います。
 終わりになりますが、教職は子どもたち一人一人の人生を決定する可能性のある崇高な営みです。子どもたち一人一人が自分は多くの人から愛されているということを知れば、必ず笑顔とやる気と希望へとつながります。それが教育の原点だと思っています。学校のすべての教職員がつながりを大切にし、笑顔とやる気と希望をいっぱいにして、子どもたちとともに充実した学校生活を送っていただくことをお願いして訓辞といたします。

藤岡市教育委員会教育長  田中 政文